台湾に於ける会社の形態と設立概要 |
日本企業が台湾に進出するためには会社形態を決める事が必要です。コロナ下に於いても設立内容の変更はございません。ここでは代表的な例として3つの形態をメリット・デメリットを含めて解説いたします。コロナ下に於ける会社設立の過程は基本的には変わりません。
台湾では、株式会社、有限会社、支店、駐在員事務所が一般的になります。分かりやすく表にまとめましたのでご参考願います。
種類 | 現地法人 | 支店 | 駐在員事務所 |
| ||
株式会社 | 有限会社 |
| ||||
(子会社) | (子会社) |
| ||||
名称 | ○○股份有限公司 | ○○有限公司 | 日商○○(股份)有限公司 台灣分公司 | 日商○○(股份)有限公司台灣辦事處 |
| |
主務官庁 | 経済部投資審査委員会 | 経済部投資審査委員会 | - | - | ||
経済部商業司 | 経済部商業司 | 経済部商業司 | 経済部商業司 | |||
国税局 | 国税局 | 国税局 | 国税局 | |||
国貿局 | 国貿局 | 国貿局 |
| |||
申請流れ | 投審会投資申請、 | 投審会投資申請、 | 外国会社登記、 | 外国会社駐在員 | ||
株式会社設立 | 有限会社設立 | 台湾支店設置 | ||||
資本構成 | 株主は外国法人や | 株主は外国法人や | 本店は外国会社 | 本店は外国会社 | ||
最低資本金 | 設立費用の支払いに十分であること | 設立費用の支払いに十分であること | 設立費用の支払いに十分であること | N/A | ||
駐在員1名の場合最低資本金 | NT$500,000 | NT$500,000 | NT$500,000 | N/A | ||
1枚目ビザ | 会社の管理者 | 会社の管理者 | 支店の管理者 | 駐在員事務所の代表者 | ||
2枚目以降ビザの条件 | 設立一年未満の場合:台湾での資本金(運用金)はNT.500万元以上や売上高NT.1000万元以上や実際輸入出金額USD.100万以上。 | 台湾で実績があること | ||||
定款 | 定款が必要 | 定款が必要 | 日本本店の定款 | 日本本店の定款 | ||
責任範囲 | 出資額を限度とする | 出資額を限度とする | 本社が全責任を負う | N/A | ||
営業活動 | 可 | 可 | 可 | 不可 | ||
輸入出 | 可 | 可 | 可 | 不可 | ||
法人格 | ある | ある | ない | ない | ||
株主人数 | 少なくとも自然人2名、 | 少なくとも自然人1名、 | ない | ない | ||
又は少なくとも法人1名 | 又は少なくとも法人1名 | |||||
人員配置 | 董事3名 | 董事1名 | 代表者1名 | 代表者1名 | ||
監査役1名 | - | 総経理1名 | ||||
投資代理人1名 | 投資代理人1名 | (兼任可能) | ||||
*法人株主1名の場合、董事&監査役は派遣される | *董事人数上限3名 |
| ||||
仮口座の開設 | 責任者は台湾で仮口座を開設し、資本金を日本から送金 | 責任者は台湾で仮口座を開設し、資本金を日本から送金 | 責任者は台湾で仮口座を開設し、運用金を日本から送金 | 仮口座が必要ない | ||
注意点 | - | - | 1.代表者は台湾駐在必要ない | 代表者は台湾駐在必要ない | ||
2.経理人は台湾駐在(住所必要) | ||||||
統一発票 | ある | ある | ある | ない | ||
(営業不可能) | ||||||
営業税(VAT) | 5% | 5% | 5% | ない | ||
所得税 | 20% | 20% | 20% | - | ||
配当時の源泉徴収税率 | 21% | 21% | ない | ない | ||
利益送金課稅 | 台湾会社の規定と同じ | 配当源泉徴収税を負担することなく、本社に利益を送金することができる | 台湾で営業できない | |||
株主個人に送金する場合: | ||||||
台湾で183日未満の場合、21% | ||||||
労働・健康保険 | 可 | 可 | 可 | 可 | ||
適用対象 | 日系企業の多くが適用している形態 | 主に中小企業もしくは個人の1一人株主の場合 | 固定的な事業を行う場合に適している形態 | 親会社に代わり台湾で促進および連絡窓口業務のみを行う場合に適している形態 | ||
簡単に設立したい場合、 | ||||||
会計処理 |
| 節税可能 | 連結財務諸表(本支店) | - | ||
メリット | 持ち分売却により台湾事情から撤退できる | 配当時に源泉徴収されない | 付加価値税や法人税を申告する必要がない | |||
未処分利益課税が無い | ||||||
台湾に利益をストックできる | 最も一般的、高い利益と節税目的で利用される方法 | |||||
デメリット | 配当時に源泉税が徴収される | 撤退する際の手続きが煩雑 | 営業活動ができない | |||
未処分利益課税がある | 事業戦略上の合弁という選択肢は無くなる | |||||
持ち分売却時には所得税が適用される | 銀行から資金を借りることが困難 | |||||
国税局で手続きする時に董事長本人が出向く必要がある。 | 本店から支店に経費を配分 CPA証明が必要 |
表作成:Bz*陳顧問
上記表をご覧になられますとお分かりの通り、目的、責任者、会社の考えによって形態が各々違います。株式会社、有限会社、駐在員事務所が一般的に多く見られます。
台湾では、個人で進出される際には有限会社での進出をお勧めしています。
会社設立時の注意事項 |
注意事項として下記に具体的に記載いたします。
・台湾に派遣される方は現地の責任者になることになります。会社からの派遣になりますが、その方が現地での発起人になりますので、2社以上が投資される株式会社の設立時には、その方も投資を行わなければなりません。
・世界共通ですがマネーロンダリングが強化されていますので、銀行の仮口座を開くのに1か月近くの時間を要する事もございます。こちらのページにて設立順序を御説明しております。
以下はコロナ時の際の対応を参考に記載いたします。
コロナ下に於ける台北駐日経済文化代表処での商務ビザは今の所60日で発行されます。台湾に入国した後、かつてMaxで強制隔離期間2週間(14日)が御座いました。一度の来台で会社設立は不可能になります。実質動く事の出来る期間は40日強となりますので、台湾に入境する前に事前スケジュール管理が非常に重要になります。
・台湾入国期限が切れた場合、日本に帰国しなければなりません。そうなりますと、次回作業が出来る日程は、日本隔離期間+台湾隔離期間=5週間もの時間を要してしまいます。その事を事前に理解してください。但し、A.S.E.A.N.の低感染国への渡航も可能になります。こちらはノウハウになりますが、日本での隔離期間を短縮する方法も可能です。(但し低感染国条件が変わらない事を前提にした場合のみになります) 分かりにくい部分が御座いましたらお問い合わせからご連絡下さい。
・日本国内で定款等の認証の際、投資者のパスポートの写しが必要になります。まれにパスポート期限が切れており、申請時間が伸びるケースもございます。事前のパスポート期限にはご注意ください。
コロナ期間の際は上記のような対応が必要になりました。
現在は制限が御座いませんので、コロナ前と全く同じ環境になっております。