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台湾労働法   無給休暇の概念に関して

  
2025年7月1日の台北市労働局の文章になります。
簡大為弁護士の見解を日本語に翻訳しました。
ご参考ください。
 
 

無給休暇は一方的に決められるものではありません!

 

一、雇用主はいつ労働者に無給休暇を求められるのか?

労働者にとって「休み」はうれしいものですが、「無給休暇」となると、どうしても不安がつきまといます。

「無給休暇」とは要するに、労働時間を削減して、雇用主の人件費を節約するための手段です。

このような休暇制度は労働基準法に明文で定められているものではありませんが、景気悪化(特にCOVIDの時期など)によって企業が倒産の危機に陥ることを避け、労使ともに困窮を回避するために、「特別に認められている方法」として存在します。すなわち、無給休暇とは「苦境を共に乗り越える」ための合法的な措置です。

しかし、雇用主が労働者に無給休暇をとらせるには、いくつかの条件があります。

台湾労働部の「景気の影響による労使協議による労働時間削減に関する注意事項」によると、企業が景気の影響で操業停止や減産に至った場合に限り、労働者と協議し、同意を得ることで労働時間を削減できると明確にされています。

一見すると、雇用主の希望で簡単に無給休暇を導入できそうに思えますが、実際にはそうではありません。

労働部はさらに次のように定めています:企業が景気の影響を受けた場合、まずは役員や管理層の福利厚生やボーナスの削減から始めるべきであり、まずは経営陣自らが「共に苦しむ」姿勢を見せるべきです。それでも経営が持ちこたえられない場合にはじめて、労働者に無給休暇を要請することができます。

さらに、労働組合が存在する場合には、まず組合と協議し、そのうえで各労働者の個別同意を得るのが望ましいとされています。

また、原則として無給休暇は最長3ヶ月までとされ、それを超える場合は再度労働者の同意を得る必要があります。そして、たとえ無給休暇であっても、給与が最低賃金を下回ってはならず、それ以下の支給では合法的な無給休暇とは認められません。


 

二、無給休暇を実施する場合は、雇用主が届け出を行う義務がある

雇用主が無給休暇を実施するには、上記の条件を満たすだけでなく、「事業所が所在する地方の労働行政機関」と「労働部労働力発展署の管轄支所」に対して、正式な通知を行う義務があります。これは、「労使協議による労働時間短縮に関する通報及び処理の注意事項」に基づくものです。

つまり、労働者の勤務する都市の労働局や労働部に対して、労使合意書および景気による影響を証明する資料を提出する必要があります。また、時間短縮の期間や実施方法に変更があった場合には、再度通知が必要です。

現時点で、通報しなかった場合の罰則は規定されていませんが、**労使協議なしに一方的に労働時間を削減したり、協議内容に沿った履行をしなかったりした場合には、給与の全額支払い義務に違反することとなり、労基法第22条第2項に基づいて、**2万台湾元〜100万元の罰金が科される可能性があります。


 

三、雇用主に無給休暇を求められたら、労働者は必ず応じなければならないのか?

当然、強制ではありません。

契約は、一旦締結すれば双方に責任が生じるのが法治国家の基本原則です。雇用主と労働者が締結した労働契約(書面がなくても有効)により、労働時間・賃金は取り決められており、雇用主が一方的に変更することはできません。

「苦境を共に乗り越える」ことはもちろん大切ですが、景気や経営上のリスクは本来、雇用主が負うべき責任です。したがって、雇用主が労働時間の削減を希望する場合は、必ず労働者の書面による同意が必要であり、労働者は自らの状況や会社の実情を考慮したうえで、理由を問わず拒否することが可能です。それは、労働者の正当な権利です。