Q:会社は残業代を支払ったのに、なぜ罰せられるのですか。
A:
1.残業までの法的手続きに注意すること
労基法第32条の規定:雇用主が従業員を正常な勤務時間以外に勤務させる必要がある場合、労働組合の同意を経て、事業部門に労働組合がない場合は労資会議の同意を得た上で、勤務時間を延長できる。
つまり、会社が従業員に残業させる必要がある場合、必ずまず労資会議にかけ、従業員の同意を得るとともに労資会議記録に記録することが必要です。労働検査があった場合、検査員は会社に対し規定に合致した労資会議ワークフローと記録の提示を求めるでしょう。もし会社が一回の会議記録もなく提示できないと、手続上違法となり、労資会議記録がないことを理由に、少なくとも2万台湾元の罰金が科せられる恐れがあります。
2.まず休ませ、それから残業に移ること
仮に会社の正常な退勤時間が17時30分とし、業務の必要上、雇用主が従業員に残業を依頼する場合、残業時間は何時から計算するのですか。
多くの人は17時30分から計算すると思うでしょう。早く片付けて早く帰ろう、そう思いませんか。
忘れてはならないのは、労基法第35条の規定、即ち労働者が連続4時間働いた場合、少なくとも30分の休憩が必要だということです。もし従業員が13時30分から17時30分までずっと働いた場合、すでに連続4時間働いているので、続けて残業に入るのは労基法第35条の規定に違反します。
合法的なやり方:1.まず従業員に30分の食事時間を与え、その後残業に入る。2.労資会議を通じ従業員の同意を得た上で(仮に)15時~15時30分を休憩時間とし、退勤時間後続けて残業に入る。こうすれば連続勤務が4時間を超えて違法だということはなくなります。
3.残業代の計算間違い
労基法の規定では、残業代の計算方法は平日の1時間当たりの給与の3分の1又は3分の2以上を加算する、とあります。見たところ簡単ですが、多くの人が間違えています。
例えば、「平日の1時間当たりの給与」の計算方法ですが、月給制の従業員は給与総額を240時間で割ったもので計算します。会社がもし基本給だけで計算していれば当然違法となります。
労基法で定義している「給与」は「労働者が労務を提供したことにより得た報酬」及び「制度上常に得られるもの」という2項目に合致していればそれに当てはまります。よってよく見られる皆勤賞、役職手当、食事手当等も残業代の計算基準に加えなければなりません。またある会社は「1.33」「1.66」で残業代を計算していますが、これも違法です。法律規定では3分の1又は3分の2以上で計算することになっているので、直接「1.34」「1.67」で計算したほうが安全です。
4.時間を超えた残業はやはり違法である
労基法では残業時間の上限を規定しています。従業員は毎日の正常な勤務は残業を含めて12時間を超えてはならず、毎月の残業時間数は46時間を上限としています。
5.法定休日は休日出勤できない
2017年より労基法が改定され、7日間ごとに2日の休日が必要で、1日は所定休日、もう1日は法定休日とし、うち法定休日は天災地変に限り従業員を出勤させることができ、もし天災等の特殊な状況がなければ、従業員が休日出勤に同意したとしても会社は違法となります。
では法定休日は何曜日にすべきか。法律では明文規定はなく、ある雇用主は、今週はちょうど日曜日に人手が要るので、法定休日を土曜日に調整し、来週は再度日曜日を法定休日に戻してもよいとみなしていますが、これはだめなのでしょうか。
法定休日の間隔が6日を超えている(今週土曜日から来週日曜日まで)のでやはり違法です。しかし、もし30-1又は84-1(労基法第30条の1、第80条の1)の勤務を適用していれば、労働組合又は労資会議が同意した上で、休みを調整できます。