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台湾の皆勤手当ての概念

 

「皆勤手当」とは何ですか?

一般的に「皆勤手当」とは、企業が社員に毎月の遅刻・早退・欠勤が一切ない場合に支給する奨励的な手当を指します。ただし名称は「手当」ですが、労働部(台湾)の通達によれば、勤務状況に直接連動し「働いたことによる報酬」と評価されるため、法律上は賃金の一部とされています。

【参考資料】(87)台労動二字第040204号函
要旨:皆勤手当が賃金に該当するかについて
全文:労働基準法第2条第3項の「賃金」とは、労働者が労働により得る報酬をいう。よって皆勤手当が出勤状況に基づき支給され、労働により得た報酬の性質を有する場合、賃金に該当する。平均賃金の計算につき同条第4項に明文あり。

 

皆勤手当の性質と法律上の扱い

  1. 皆勤手当は賃金の一部と見なされるため、平均賃金・残業代・退職金などの算出基礎に含める必要があります。

  2. 労働基準法には皆勤手当の支給義務はないため、支給するかどうかは労働契約や就業規則の定めによります。

  3. 契約や就業規則で「条件を満たした場合は支給する」と定めている場合、会社は任意に変更・削減できません。

 

「皆勤手当」を控除してはいけない休暇

《労工請假規則》(労働者請暇規則)第9条によると、以下の休暇では皆勤手当を減額してはなりません:

  • 結婚休暇

  • 忌引休暇

  • 公傷病休暇

  • 公休(公務関連の休暇)

  • 妊娠3ヶ月未満で流産し、普通傷病休暇を取得した場合

また、規則には載っていないものの、行政上「控除不可」と扱われる休暇・状況には以下も含まれます:

  • いわゆる「台風休」「防疫休」「ワクチン休」「生理休」「求職休」「家庭看護休」

  • 通勤事故や公共交通機関の遅延など、本人に責任がない遅刻(証明が必要)

つまり、現行規定では、病休・事休(病欠・私用休暇)は皆勤手当を控除してよいとされています。

ただし労働部長は「病欠で皆勤手当を没収するのは合理的ではない」と発言しており、今後制度改正が検討されています。

 

皆勤手当がよく見られる業界

皆勤手当は「恩恵的給付(インセンティブ)」としての性質が強く、特に以下のような出勤安定性が重要な業界で多く導入されています:

  • 製造業

  • 倉庫・物流業

  • 小売業

  • コールセンター業務

  • 飲食業

  • ホテル・旅館業

理由としては、人員不足や欠勤が業務運営に直接影響しやすいため、安定的な出勤を促す必要があるためです。

 

皆勤手当の一般的な支給額と計算方法

企業ごとに大きく異なりますが、台湾の一般的な支給額は 500〜3,000元程度です。

計算方法には以下があります:

  • 固定額支給(例:毎月1000元)

  • 時給に上乗せ(例:時給+20元相当)

  • 基礎給与割合に連動(比較的少数)

 

企業が皆勤手当を扱う際の注意点

  1. 基本給に含めてはいけない
    約束した基本給に加えて支給すべきであり、「基本給に含めて調整する」ことは違法です。

  2. 法定休暇を理由に控除してはならない
     生理休暇、産休等を理由に皆勤手当を減らすことは禁止されています。

  3. 今後の制度変更に注意
     「病休で皆勤手当がなくなる」制度は見直しが検討されているため、人事は最新情報に注意する必要があります。