【2026年最新】台湾で外国人専門職を採用する際のルールと緩和策|就業許可・退職金新制・永住権の優遇措置 |
1. はじめに:加速する台湾の外国人材誘致政策
現在、台湾は深刻な労働力不足を背景に、優秀な外国人専門人材(ホワイトカラー)の確保を国家戦略として掲げています。
特に「外国専門人材誘致及び雇用法(外専法)」の改正により、日系企業が日本人を含む海外人材を台湾法人で採用する際の障壁が大幅に低くなっています。
本記事では、2026年現在の最新ルールを整理します。
2. 外国人専門人材の採用要件:大幅な緩和のポイント
従来、外国人を専門職として採用する場合、「大学卒業+2年の実務経験」が必須条件でした。しかし、現在は以下のような緩和措置が取られています。
世界ランク上位校卒業者の優遇: 台湾当局が指定する世界ランキング上位校(QS、THE等)の卒業生であれば、2年の実務経験が免除され、新卒での採用が可能になっています。
台湾当局が指定する日本の対象大学リスト
日本の大学で、この「実務経験免除」の対象となる主な学校は以下の通りです。
1. 旧帝国大学・主要国立大学
東京大学
京都大学
大阪大学
東京工業大学(東京科学大学)
東北大学
名古屋大学
九州大学
北海道大学
筑波大学
広島大学
神戸大学
2. 主要私立大学
慶應義塾大学
早稲田大学
3. その他、ランキング上位に位置する大学(年度により変動あり)
東京医科歯科大学(東京科学大学)
千葉大学
岡山大学
金沢大学
熊本大学
一橋大学(社会科学分野で上位)
早稲田、慶應以外の私立(上智大学、東京理科大学などが順位により含まれる場合があります)
実務上の重要なポイント
「QS」「THE」「U.S. News」のいずれかで500位以内 台湾労働部の規定では、特定の1つのランキングだけでなく、主要な世界ランキングのいずれかにおいて、過去または現在500位以内にランクインしていることが基準となります。
修士・博士号取得者は自動的に免除 ランキングに関わらず、修士以上の学位を持っている場合は、どの大学を卒業していても「2年の実務経験」要件は最初から免除されます。このランキング指定が特に重要になるのは、「学部卒(学士)」の方を採用する場合です。
「就業金カード(ゴールドカード)」の基準とは別 今回の「500校リスト」は、あくまで一般の就業許可における実務経験の免除に関するものです。より高度な「就業金カード」の場合は、世界ランキング200位以内の大学卒業者が対象となるなど、基準がさらに厳しくなります。
最低賃金要件: 外国人専門人材を雇用する場合、原則として月給47,971元以上を支払う必要があります。これは2026年の一般最低賃金(29,500元)よりも高く設定されており、専門性の担保が求められます。
企業の資本金要件: 設立1年未満の新設法人の場合、資本金500万元以上が必要ですが、ハイテク分野や特定の公認を受けたスタートアップなどは、この要件も緩和されるケースが増えています。
3. 【2025-2026注目】外国人への「退職金新制」適用拡大
これまで、外国人労働者(永住者を除く)は、会社が給与の6%を積み立てる「労働退休金(新制退職金)」の対象外でした。しかし、法改正により2025年後半から以下の運用が始まっています。
専門人材への適用: 「就業専門人材」として許可を得ている外国人は、永住権(永久居留証)を持っていなくても、希望すれば退職金新制の対象となれる道が開かれました。
企業負担への影響: これにより、企業側は外国人採用においても額面給与の6%を別途拠出する予算を組む必要が出ています。従業員の長期定着には有利な制度ですが、人件費設計の見直しが求められます。
4. 就業金カード(ゴールドカード)の活用メリット
特定の分野(科学技術、経済、教育、文化、スポーツ等)で優れた実績を持つ人材には、「就業金カード(Employment Gold Card)」が発行されます。
4つの権利を1枚に: 「就業許可」「居留証」「再入国許可」「個人ワークパーミット」が一体化されています。
最大のメリット: 特定の雇用主に縛られないため、カード保有者は自由に転職や副業が可能です。また、一定以上の所得がある場合は、3年間の所得税半減優遇を受けられるため、高度人材の採用において強力なインセンティブとなります。
5. 永住権(永久居留証)取得へのロードマップ緩和
2026年に向けて、外国人専門人材が台湾に定着しやすいよう、居住要件も緩和されています。
一般専門人材: 連続5年の居住(年間183日以上)で申請可能。
特定専門人材(ゴールドカード級): 連続3年の居住で申請可能。
学歴による短縮: 台湾の大学で修士・博士号を取得した外国人は、永住権申請に必要な居住年数をさらに1〜2年短縮できる制度が強化されています。
6. 外国人採用時のコンプライアンス注意点
制度が緩和される一方で、手続き上の不備に対する罰則は厳格です。
不法就労の防止: たとえ数日の研修や会議であっても、適切なビザや許可なく実務を行わせることは厳禁です。
学歴・経歴証明の認証: 海外で取得した卒業証明書などは、現地の台湾大使館(代表処)での「文書証明」が必要です。これには時間がかかるため、採用スケジュールには余裕を持つ必要があります。
労働保険・健康保険への加入: 就業許可が下り、入国・着任した当日に加入手続きを行う義務があります。
7. まとめ:グローバルな組織構築のために
台湾の労働法は、外国人材を単なる「労働力」としてではなく、台湾の競争力を高める「パートナー」として迎える方向へ進化しています。
2026年の新制度を正しく理解し活用することは、日系企業が台湾市場での優位性を確保するための鍵となります。



