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2026年台湾労働法改正の全容:最低賃金引上げと「柔軟な休暇制度」への対応実務

  

2026年1月1日より、台湾の労働環境は大きな転換点を迎えます。

10年連続となる最低賃金の引き上げに加え、育児休業の「日単位取得」や介護休暇の「時間単位取得」といった柔軟な制度が本格施行されました。さらに、病気休暇に関する罰則強化など、企業の管理体制が厳格に問われる局面です。

本記事では、これら最新の法改正が日系企業に与える影響と、今すぐ取り組むべき解決策を専門家の視点で解説します。

 

2026年台湾労働法改正の全容:最低賃金引上げと「柔軟な休暇制度」への対応実務

台湾で事業を展開する日本企業にとって、2026年は「労務管理のアップデート」が最優先課題となります。

台湾労働局は、労働者の権利保護とワークライフバランスの向上を掲げ、矢継ぎ早に制度改正を行っています。

1. 最低賃金の10年連続引き上げと社会保険料の連動

まず、最も直接的な経営インパクトとなるのが最低賃金の改定です。

2026年1月1日より、月給は28,590元から29,500元へ、時給は190元から196元へと引き上げられました。これにより、給与額の調整だけでなく、健康保険や労保(労働保険)の投保等級(ランク)の見直しも必須となります。

これを怠ると、後に差額の遡及支払いや過料を科されるリスクがあるため、給与計算システムの早期更新が不可欠です。

2. 育児・介護休暇の「細分化」への対応

今回の改正で現場の運用を最も複雑にするのが、休暇制度の柔軟化です。

  • 育児休業の「日単位」取得: これまで30日以上の連続取得が原則でしたが、最大30日間を「1日単位」で取得できるようになりました。

  • 家庭介護休暇の「時間単位」取得: 突発的な家族の通院等に対応するため、1時間単位での申請が可能となりました。

これらは従業員にとって利便性が高い反面、企業側にとっては「頻繁な欠勤」に伴う業務の停滞や、正確な勤怠管理の負担増を意味します。

特に「皆勤手当」への影響について、不当な減額は法令違反となるため、就業規則の微調整が求められます。

3. 「病気休暇」への不利益取扱いの厳格化

最近、台湾国内で大きな注目を集めたのが、病気休暇の取得を理由とした不利益な扱いの禁止です。

航空会社の客室乗務員が体調不良を訴えながらも勤務を継続し、急逝した痛ましい事件を受け、労働部は規則を改正しました。

2026年からは、年間10日以内の病気休暇取得を理由とした解雇、降格、不当な人事評価が厳しく制限され、違反した企業には最大100万元の罰金が科される可能性があります。「休みにくい空気」がある組織文化は、今や経営上の法的リスクです。

4. 日本企業が取るべき「最善策」

日本企業が陥りやすい罠は、日本の本社基準で現地の労務判断を下すことです。

台湾の労働検査は非常に厳しく、書類の不備一つで即座に公表・罰金へと繋がります。

解決策として、まずは「就業規則の全面的なリーガルチェック」を行ってください。

新しい休暇単位の導入、最低賃金に伴う諸手当の再設計、そして病気休暇に関する評価基準の明文化が必要です。また、管理職に対して「台湾の最新労働法」の研修を行い、現場での不用意な発言や指示によるトラブルを未然に防ぐことが、長期的な安定経営の鍵となります。